2009-09-20

後記+プロフィール 126

後記 ● 村田 篠


今週号の10句作品の作者、石地まゆみさんから、今年は旧暦閏5月のある年だったと書かれたメールをいただきました。閏月について聞いたことはありましたが、お恥ずかしいことに、それがどういうものなのかを詳しく知りませんでした。そこで、遅ればせながら調べてみました。

月の満ち欠けを基準にした太陰暦では1年が354日となり、太陽の運行を表した太陽暦とは11日もの誤差があります。ですので、そのままにしておいたのでは、やがて季節と暦の間に大きなズレが生じてしまいます。そこでその誤差を埋めるために、3年に1度閏月をもうけて1年13ヶ月とし、暦を調整しました。すなわち今年を例にとると、5月と6月の間に「閏5月」があった、というわけです。そして、閏年(閏月のある年)は1年が384~385日ある、という勘定になります。

考えてみますと、1年でこんなに大きな誤差が生じるカレンダーでは、同じ日付でも年によって気候が違ってしまいますので、「何月何日ごろの陽気」というのはあまりあてになりません。そこで活躍したのが、季節を24に割って名前を付した「二十四節気」です。昔の人、ことに農業に従事する人々は、日付よりはむしろ「二十四節気」で1年を考えていたと思われます。そして暦は、どこまでも「月の満ち欠け」を表すものだったのですね。

年月の移り変わりを「季節」と「月の満ち欠け」のふたとおりに把握し、使い分けていた先祖たちの柔軟な思考回路に、思いを巡らせた1日でした。

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暦といえば、昨日は9月19日。糸瓜忌でしたね。


 

ではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.126/2009-9-20 profile


■石地まゆみ いしぢ・まゆみ
昭和34年東京都生まれ。昭和62年朝日カルチャーセンターにて作句開始、橋本風車に師事。平成2年「未来図」入会、鍵和田秞子に師事。平成7年「未来図」新人賞受賞。平成8年「未来図」同人。平成20年句集『赤き弓』上梓。俳人協会会員。

■水夫 清 かこ・きよし
本 名;清水国治。ハワイ大学芸術学部卒。2000年ころより俳画の制作を始める。国内外の俳人の句に画をつけるというコラボレーションで今までに250人以 上、1200点以上の俳画を制作。現在は芭蕉の『奥の細道』の句をすべて俳画にするプロジェクを進めていて、ほぼ毎日一点のペースでブログに掲載中。世界 俳句協会顧問、同協会俳画コンテスト審査員。ブログ:http://blogs.yahoo.co.jp/kako_kiyoshi

■小池康生 こいけ・やすお
大阪出身大阪在住。「銀化」新人賞受賞。「銀化」同人。俳人協会会員。

■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952 年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」(小池正博・野口裕)。2月1日に、第三号を発行。入手希望の方は、 yutakanoguti@mail.goo.ne.jpまで。進呈します。 サイト「野口家のホームページ」


■小林哲也 こばやし・てつや
1957 年兵庫県伊丹市生まれ。サイト"April in Snow" (現在、更新停止中)、ブログ"豆腐に柳" を細々と運営中。

■村田 篠 むらた・しの
1958年、兵庫県生まれ。2002年、俳句を始める。2003年「魚座」入会。2005年「魚座」新人賞。2006年「魚座」終刊。現在「雲」同人。「月天」会員。俳人協会会員。「Belle Epoque」

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