2009-12-27

〔新撰21より〕北大路翼の一句 山田露結

〔新撰21より〕北大路翼の一句
夢は夜ひらくのだ ……山田露結


春惜しむ亀頭のティッシュ剥がしつつ  北大路翼
  (「懐かしきかな、あつこ」と前書)

夢も希望もなく淡々と描かれた生活風景のようでありながら、句の背後にそこはかとなく漂う哀愁は何だろうと思っていたら、こんな歌を思い出した。

 四畳半のアパートで
 それでも毎日やるものは
 ヌード写真に飛び散った
 カルピスふくことよ
    (「夢は夜ひらく」 詞・歌 三上寛) ≫YouTube

これまでにも性を詠んだ俳句作品はたくさんあったと思う。しかし、北大路翼氏の句ほど淡々としかも生々しく(多少の脚色はあるにしても)私生活に接近しているものは無かったのではないだろうか。

春めくや泡で隠してゐる陰部 (「カリナは」と前書)
陰茎が触れて蛙が触れない (「まいたん☆」と前書)
二回目の豊胸手術梅雨に入る (「ばらしてごめん、聖子」と前書)
ほつぺたに睾丸ふるる寒さかな (「二丁目のリョウ」と前書)
年惜しむ麻美・眞子・晶子・亜美・マユミ (「そして愛すべき君たち」と前書)

現代の若者風俗の記録写真のような「女LOVERS」の章 に収められたこれらの句も「春惜しむ~」の句があるおかげで、どれも四畳半的生活臭に似た哀愁を帯びてくる。あるいは、これらの作品はもはや過ぎ去ろうとしている作者の青春へのレクイエムなのだろうか。


『新撰21 21世紀に出現した21人の新人たち』
筑紫磐井・対馬康子・高山れおな(編)・邑書林

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