【週俳2月の俳句を読む】
坂石佳音
ここの空にも
おほかたは鴨おほかたは眠りゐる 田中英花
「おほかたは」の繰り返しがやわらかな波紋を生む。
鳥は電線にいれば雀、水に浮いていればアヒルか鴨のわたし、
「あれは何?」と眠っておらぬ鳥を指差してみようか。
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顎まで上ぐるジッパー春夕焼 古谷空色
春とはいえ夕暮れは肌寒い。
たとえ暖かでも扉を閉めるように前を閉じる夕。
ジッパーに髭がはさまりませんか?どうしてって、春だから、夕焼だから。
春雪のざらざら残る医院かな 古谷空色
ザラザラではなくざらざら。
一度緩んだ雪がまた凍っている触感と、一直に入口に向かう土の道の黒とそれ以外の場所の手付かずの白さという視覚のサンドイッチ。
勝手に雪だるまを作ってもセンセイは怒らないと思うなぁ。
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霧の原野少年ところどころジャンプ 西村我尼吾
大地を踏みしめるいつも足の裏、
石を踏んでもどんと叩かれてもほどほど大丈夫だろう。
くすぐればきっと白い歯を見せてあはははと笑うだろう。
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生成りやらオフホワイトやらあたたかし 三浦 郁
そやね、なんやわからんけどほんわかするわ。
ほっ、空に浮かせとこか、ああ、よう似合うやんか、
ここの空にも。
■田中英花 おほ かたは 10句 ≫読む
■古谷空色 春夕焼 10句 ≫ 読む
■伊藤伊那男 華甲の頭 10句 ≫読む
■西村我尼吾 アセアン 10句 ≫読む
■三浦 郁 きさらぎ 10句 ≫読む
■守屋明俊 浅川マキ追悼 10句 ≫読む
■小倉喜郎 春の宵 10句 ≫読む
■裏 悪水 悲しい大蛇 10句 ≫読む
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2010-03-14
【週俳2月の俳句を読む】坂石佳音
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