第2回「週俳・投句ボード」2009年4月の俳句から
陽 美保子・撰
○何本か杭の芽吹ける三鬼の忌 矢野孝久
今回の投句の中で一番好きでした。どこかおかしくてペーソスがありあたたかい。三鬼の忌との取り合わせが絶妙。
○古本を量つて買ふや花の下 中村 遥
植草甚一を思いました。ステッキを持った初老の紳士。古本には目がなく、温厚そうだが古本を見る時の眼光は鋭い。ステッキに印が付けてあり、その印まで買った本が積み上げられるとようやく満足して本をリュックにしまう。桜との取り合わせが粋。もっともこの「量つて」というのは、量り売りでなんぼという超安本かもしれないが。
○桜鯛唄うたふよに糶られけり 中村 遥
糶の威勢のよい声にもリズムというものがある。リズムが悪ければ売れるものも売れない。桜鯛なら唄うように糶る。この句、虚構かもしれないが、騙されてもいいような気がする。
○鳥交る講義ノートの字がきれい ameo
新学期。隣に座った彼女がちょっと気になる。ちらりとノートを覗くときれいな字で真面目に講義ノートを取っている。清楚系の女子大生。淡い恋心を抱く。鳥も恋の季節。
○百千鳥クッキーとビスケットの違ひ 矢野孝久
クッキーとビスケットの違いってよくわからないけれど、クッキーはしっとりとしてビスケットはさくさくした感じ。重曹を入れたのがビスケットっていうのかなと勝手に思っている。まあ、おいしければどっちでもいいような気がする。百千鳥がよく効いている。
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