平井照敏 編『新歳時記』(河出文庫) につっこむ (春)
ハイクマシーン(佐藤文香・上田信治)
佐藤のtwitterにおけるつぶやき
160人の前で初めての講演、にも関わらず、しゃべる内容のメモも筆記用具も忘れて行ったんにはビビった。いつものとおり、何が話したいのかよくわからないかんじに終りました。収穫は、平井照敏の新歳時記は読み上げただけで大爆笑だったこと。つかえる。
4:31 PM Mar 4th
上田から佐藤へのダイレクトメッセージ
週刊俳句で連載して!
5:02 PM Mar 4th
同・佐藤から上田
おうおう(他の人に聞かなくていいんですか?w)
5:26 PM Mar 4th
◆
◯季語についての記述は、すべて平井照敏編『新歳時記(春)』(河出文庫)より引用。
◯カッコの種類により【季題】「季題解説」〈本意〉「例句」を区別し引用する。
◯文字の色や大きさは、引用者によって変更されている場合がある。
◯※印は、引用者のコメント。
◆
【花時】
「桜の花の咲く四月の頃だが、他の花も咲きはじめて、はなやかな春の気分になる。日本は南北に長いので、三月から五月に時期はずれるが、春の感じが最高潮となる。」
※「最高潮」て。
【朧】
「月だけでなく、春の夜の万物がおぼろげにかすむことをいう。物だけでなく、鐘の音、灯影などにもいう。朧雲は高層雲のことで、縞や筋のある灰色の雲のヴェールである。」
※「ヴェール」て。
【春の星】
〈冬の星はつめたくきつく、夏の星はかっと燃えるようで、その間で、やわらかい、しっとりした、情緒ある輝きをしている。〉
※全部、言ってしまっている。しかも、冬も夏も。
【流氷】
〈酷寒の北海道の現象で、解氷の一種にはちがいないが、はるかに巨大で力感のあるものである。春の到来を流氷の動きが壮大な規模で如実に示す。〉
※全部言ってしまっている。
【春の土】
「春の土はなつかしい。あたたかくなると、ひとりでに土いじりがしたくなる。」
※私はしたくならない。
【渡り漁夫】
「北海道で鰊の漁期になると、渡ってくる漁夫のことで、多くは東北地方の漁夫や農民である。(略)最近では 鰊が不漁だが、かわりにいか漁、ほっけ漁などに従事している。」
※おかしなことは言っていないが、最近といっても20年前なので、いま、渡り漁夫がナニ漁に従事しているかは不明。
【遠足】
「春、秋によく行われるが、野遊、踏青などとの関連で、春の季語となっている。学校、会社、工場、官庁など、さまざまのグループの遠足があり、団体で、景色のよいところ、史跡、遊園地などに行き、遊び、弁当を食べてくる。多くは一日のもので、二日以上の場合は旅行になる。家族だけの遠足もあり、ハイキング、ピクニックなども似たものである。」
〈明治以後の季語である。(中略)最近はバスがよく使われるが、自然にふれて弁当を食べて帰るのは、いかにも春らしい楽しい行事である。〉
※弁当好き?
【三鬼忌】
「四月一日。俳人西東三鬼の忌日。三鬼の本名は斎藤敬直。明治三十三年(一九〇〇)岡山県津島市に生まれ、昭和三十七年(一九六二)同日神奈川県葉山町で死んだ。」
※茂吉や虚子は「没した。」なのに。
〈三鬼は句作のはじめから、新鮮で詩的な句を作り、次第に伝統性を消化していった。言葉の魔術師といわれ、複雑な陰翳をひそめたペーソスのある新鮮な人なつこい句風であった。〉
※ものすごい句風である。
カラ/\のひとでを拾い三鬼亡し 沢木欣一
支那街に揺るる焼肉西東忌 秋元不死男
【鴉の巣】
「春さきから鴉は繁殖期にはいり、森に巣を作って卵をうむ。(中略)前年の単が使われる。(後略)」
〈鴉はその鳴き声できらわれるが、親子の情が深く、一つがいがよく子育てをする。巣づくりのために馬の尾の毛を抜きにくることもあるということである。〉
※そんな情報いらん!
【猫柳】
「(前略)長楕円形の花穂は苞の白い毛が密生する。これが銀色に輝いて美しく、猫に似た感じがある。(後略)」
〈暖かさが感じられる頃に咲く猫柳は、はっとするほどかわゆく、うつくしい。銀色の光沢も、あたたかさのなかで、心をくつろがせる。のどかな情感がある。〉
※平井さん、猫好き?
サルビアの咲く猫町に出でにけり 平井照敏
※これは、いい句ですね。
◆
「平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(夏)」につづく
2 comments:
「新解さん」を思い出しました。面白いですね。書店や図書館で見かけたら、買ったり借りたりしてしまいそうです、新歳時記。
あはは。クレームの付け方が可愛いくて面白かった。文香さんおおいに突っ込んで下さい、
歳時記も、有季定型俳句の方法と同じく。編纂監修者の「独創的かつ恣意的な面もある制度化」だと言うことが、私にも最近あることから分かってきました。これはこれで、平井照敏さんの「遠足の弁当」や「猫柳」の愛し方なんだなあ、と懐旧の風景ですね。
鹿島屋さんとおなじく、買いたくなったなあ。
文香さんが歳時記を編んだら、面白いナウな読み物になるでしょうね。
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