〔週俳7月の俳句を読む〕
蜜 月
栗山 心
はまひるがお長靴脱いで一年生 室田洋子
雨の日、母親の出した長靴を履いて行くのは、まだ園児の面影を残す、小学一年生位までだろうか。この句の子供は、まだ素直に長靴を履き、雨の上がった砂浜で遊ぶために脱いだのだろう。やがて、回りの友達も長靴を履かなくなり、どんなに土砂降りでも長靴を拒否する日がやってくる。それが親離れの一歩だったのだと、その時期を過ぎてみれば思えるのだ。長靴は、母と子の蜜月の象徴である。
育児書をめくってみても青葉木菟 同
この国のきれいな水よ浦島草 同
育児は、育児書通りには行かないことのほうが多い。分かっていても、それでも、何度も育児書を捲ってみなければ気が済まない。そして更に不安をかき立てるような、青葉木菟の鳴き声。震災以降、小さな子供を持った親の不安は、育児書をいくら捲ってみても、決して解消されることはない。ただ、きれいな水のあるこの国で、子供を育てたいだけなのに。
第219号 2011年7月3日
■室田洋子 青桐 10句 ≫読む
■堀田季何 Waiting for… 10句 ≫読む
第221号 2011年7月17日
■大野道夫 明日へと我も 10句 ≫読む
■橋本 薫 人魚姫の花壇 10句 ≫読む
第222号 2011年7月24日
■三吉みどり 琉 金 10句 ≫読む
第223号 2011年7月31日
■堀本裕樹 浮 言 10句 ≫読む
ウラハイ
■西原天気 原子力 10句 ≫読む
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2011-08-07
〔週俳7月の俳句を読む〕栗山 心
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