2011-11-06

商店街放浪記51 大阪・道修町から 小池康生

商店街放浪記51
大阪・道修町から

小池康生


赤レンガさんから招待状が来た。

少名彦神社でコンサートがあり、そのあと、近くの近代建築を見学とある。
へーっ、少名彦神社でコンサートとは珍しい。
路地裏荒縄会の皆が集まるのだろうと、手帳に記しをつけておく。

日を経て、9月1日。
夕方の少名彦神社に向かう。

少名彦神社は、大阪の道修町にある。
通称、神農さん。

道修町は、江戸時代より薬の町なのだ。
ドショウマチと読む。
船場の中心地である。
薬の町が、神のご加護により職務を遂行できるよう祀られているのだ。

今も界隈には、大手薬品会社が本店を構える。
大阪の中心的商業地、格調高い街である。

少名彦神社は小さい。
昔の姿は知らないが、都会のビルの狭間にあり、間口がとても狭い。

一間とか二間とかという尺になじみはないが、神社の入り口は一間か二間かと思う。間違っていたら申し訳ないので、今月中には調べる。
11月22日23日が、神農祭なのだ。

大阪の祭りは、一月の十日戎で始まり、神農さんで終わる。
神農さんは、大阪の<とめの祭り>なのだ。

大阪のビジネス街のど真ん中に、秋の祭りが存在するのだ。
その日、間口の狭い神社には、神社に入るだけで行列ができる。
都会の真ん中で、神社に足を踏み入れるための行列。今年もその行列に並ぶつもりなので、その時、間口を確認する。

もとい。9月1日である。

赤レンガさん指定の少名彦神社に向かった。
社務所ビルのなかで、コンサートが行われた。

生ビールや日本酒などの振る舞い酒が用意されている。
残暑だったが、大阪にしては涼しい日だったと思う。

会場に入ると、前のほうに赤レンガさんがいる。
軽く挨拶をして、後方の空き席に座る。

窓が開き、風が入る。
日本酒を貰う。旨いが、キツイ。この時間にすきっ腹に効く。
ビール、まわってこないか。

コンサートがはじまる。窓は開けたまま、近隣のビジネスビルにまで音は届いているだろう。きっと、ここの氏子だから文句はでないのだろう。

イーゼル工房によるステージだ。

以前、赤レンガが大阪港に事務所を構えていたとき、そこでもイーゼル工房の演奏を聴いた。フュージョンというのだろうか。JAZZやクラシックなど色々なテイストが詰まっている。

このイーゼル工房には、沢山のアーチストがいて、その中で色々なユニットを組むという活動形態のようだ。

その演奏を聴いて、表に出ると、
赤レンガさんを中心にした集団がいる。

赤レンガさんの仲間だ。
知らない人ばかり、路地裏荒縄会のメンバーがいない。

赤レンガさんの誘導で、堺筋通りにでる。
近代建築の見学らしい。
こんな夜に、どこでどんなビルを見るのだろう。

しかし、これが大変な物件だった。

それが赤レンガさんの新事務所。
丹下健三のライバルとされた人の設計したビルだった。


 紙風船つくたび音の違ふ秋    鳥居真里子

                           
(続く)

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