〔週俳1月の俳句を読む〕
ゾンビ
江渡華子
〔新年詠より〕
どの部屋もゾンビ居りけり初ゲーム 小林鮎美
私の中の一番古いゾンビの記憶は、映画『バタリアン』だろうか。脳味噌を食べるゾンビだった。映画の終わり方も衝撃的で、いまだに今まで見た中で一番こわい映画だと思う。上映されてから20年も経つだろうに、夢にワンシーンが出てきたりする。
最近のゾンビで言うと、花沢健吾の漫画『アイアムアヒーロー』が面白い。ゾンビになる設定が、いかにもリアルで、描かれている世界や人々の会話もリアルだ。主人公の迷いっぷりや、逃避している状態も、すごく共感してしまい、共感してしまったことに落ち込むこともある。
ゲームだと、一番に思い浮かぶのは『バイオハザード』だろうか。次々と出てくるゾンビを撃ち殺し、目的地に進むというわかりやすいものだが、やっぱり撃っただけでは死んでくれないというところが一番こわい。死んだものを改めて殺すという、意味のないようなことをぎゃーぎゃー言いながら、延々と繰り返す。それが一番こわい。
正月は実家を離れている兄弟も戻ってきて、ゆったりとした時間を過ごす。ぎゃーぎゃー言いながらゲームをするのだろう。めでたい日にめでたくない取り合わせに無理がなく、「居りけり」と距離をおいて冷静に言っているところが面白い。微笑ましいあるある俳句だ。
第245号 2012年1月1日
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2012-02-12
〔週俳1月の俳句を読む〕江渡華子
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