2012落選展
04 飯島葉一郎 舌のごとくに
たんぽぽよからだの奥の声の巣よ
春日向どこかにかっぱいる予感
蝌蚪群れているかに頭皮隆起せり
ガラス屋のガラス倒るる陽炎は
遠柳鮫に四角い夜が来る
肉じゃがの気持ちになりかわりて
消化液まみれの僕も春なれや
明け方の夢 廃屋に蝶満ちて
兎百匹詰まっていたる春の山
花曇電柱のポンポン咲いて
桜とは死後に見る夢咲き満ちて
初花や生まれる前の舌絡ませ
椅子に椅子積み重ねてや春の暮
鳥の恋言葉は水色に濡れて
新緑に分厚き風のぶつかり来
ロンドン橋落ちる白夜の花盛り
遠くの鏡 遠くのあじさい揺れつづける
手のひらのごとく湿りて黴の書架
五月雨や花の名前を裏返す
夕焼けに万の背中の潜みけり
関節の足らぬさるすべりの咲けり
蛍狩りガラスの音の中をゆく
穴子百匹夜の大動脈にもぐる
長き舌見せ合っている祭かな
まぶたなき夜が牡丹の上に浮く
モモイロハリエンジュの蕊いつまでも頭上にある
鷺草や記憶なくしてきて笑う
ひとりいて虫を見ている夏休み
空蝉となるまで草と交わえる
ひまわりが河を遡上す夜のマラソン
Du bist Pferde 夏野を酢が流る
夜はまだ続く扇風機は回る
竹林やことばの国に立てこもる
満月や河童の肉を持ち歩く
葛の花壁の間を水走る
女郎花鯰を飼っている不安
本棚に挟まれている朴落葉
烏瓜パジャマの光るボタンかな
月光に白壁総毛立つらしき
ショッキングピンクこおろぎ鳴いている
団栗や眠って隣の山まで行く
白鳥と黒鳥時間入れ喚わる
ふくろうや舌のごとくに日が垂れて
名前つけてやろ焚き火の中を行く塵に
雪降るや河童の尻の穴を吸う
言葉は所詮言葉 昆虫の眼に雪降るや
短日や指の鋭く語りあふ
霜晴れや声にも力瘤ありて
如月は鳥の羽音と電熱線
ペットボトル積まれて雪の朝となる
●
2012-11-04
2012落選展 04 飯島葉一郎 舌のごとくに テキスト版
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2 comments:
竹林やことばの国に立てこもる 飯島葉一郎
森や林でない竹林、、、ちくりん
単語も風通しよさそう
森は鳴り、竹林は響く、、、か?
竹落葉亜細亜は雨の美しき ハードエッジ 99.6.19
遠くの鏡 遠くのあじさい揺れつづける 飯島葉一郎
「遠くの鏡」いい感じ
夜はまだ続く扇風機は回る 飯島葉一郎
師系とはこれ黒金の扇風機 ハードエッジ 2012.11.9
読み返して追加2句
鳥の恋言葉は水色に濡れて 飯島葉一郎
ショッキングピンクこおろぎ鳴いている 飯島葉一郎
私の句とは行き先が違うので、
感想が言葉にならないのですが、
なんか、いいなと、、、
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