2012落選展
14 利普苑るな 2011/2012
蜃気楼彼の世茶色でありにけり
河口まで三粁水に春の雲
春霰や道頓堀の募金箱
鳥交る綿のこぼるる縫ひぐるみ
夕暮や祈りのやうに種下し
みちのくの田に花冷の至りけり
老人の長き会釈や春の暮
やどかりや昨日を知らぬ赤子生る
何もかも失ひ空に鯉幟
在来線ホームに風や燕の子
天道虫子どもの産毛汗ばめる
花茣蓙の柄よきところ選りて座す
夕方に届く朝刊仏法僧
梅雨寒のコーンスープの重さかな
白シヤツに汚点のぽちりと徹夜明け
夕凪や釣人のふりしてゐたる
天網の疎なりハイビスカス赤し
憂ひとつ無き風情なる昼寝かな
みちのくの土の黒さや油蝉
かなかなや教へ子の影走り来る
化野に鎮もる御霊星涼し
抽斗の計算尺やおしいつく
新涼や言葉の出入りする身体
からころと軽き引戸や盆の月
家鴨住む弁財天堂秋の声
桔梗や信仰ときに重たかり
変らざる吾の歩幅や鳥渡る
太白の出て艶めく花野かな
秋風や人影映す大理石
竜胆の青の極まる遠野かな
封筒の絹目著しや雁の頃
草ひばり枕にのこるわが温み
鞍上の人に声かけ秋惜しむ
仮の名のままに猫飼ひ冬隣
冬帽の男の低く唄ひ過ぐ
背の順に溶け始めたる雪達磨
人来れば灯る明りや冬深し
それ以上言へば死なむと雪をんな
春待つや唐三彩の楽人俑
欠伸して涙ひと粒桃の花
春めくや三色刷の献立表
検査結果の細き紙片や鳥雲に
料峭や黒土見ゆる河川敷
春夕焼SEKAI NO OWARI口遊み
三月や少女を乗せる平均台
天丼の海老の尾ぱりと桜どき
啄木忌幾度も道を問はれけり
鞦韆に飛ばす帽子や城下町
亀鳴くや太子の寺の一角に
念珠屋の前のバス停風光る
●
2012-11-04
2012落選展 14 利普苑るな 2011/2012 テキスト版
登録:
コメントの投稿 (Atom)
1 comments:
注目句
からころと軽き引戸や盆の月 利普苑るな
鳥交る綿のこぼるる縫ひぐるみ 利普苑るな
コメントを投稿