豆の木賞応募
まばたき 近 恵
初秋のひかり集めているおでこ
白桃に触れた指先から老いる
鬼灯を剥けば肉体に空洞
膨らんだ桔梗朝を待っている
流星を見たくてポニーテール解く
天の川闇よりも濃い森影を
長き夜の人形は瞬きをせず
生きるのも死ぬも有料秋風鈴
残る蝉川幅は満たされている
燕帰る河原の石を硬くして
草の花杭をうつたび振る腕
小鳥来る綿百パーセントの下着
かさぶたを無理やり剥いで今日の月
虫の夜の電柱ことごとく斜め
秋の星身を乗り出して吸う煙草
ポケットの塵を丸めて地虫鳴く
檸檬の輪切り透かして誰の声も無い
稔り田に与える風を飼う資格
野胡桃のたくさん降る日なら泣ける
鈴の鳴るように秋の虹は消えて
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2012-12-23
ひとり落選展×4テキスト 近恵 まばたき
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