創刊6周年記念誌上句会
【六】選句と作者・一覧
さへづりて六角鉛筆一ダース 藤幹子
○栗山心○KIYOAKI FILM
■『六角鉛筆一ダース』がいいね。(KIYOAKI FILM)
■鉛筆もすっかり使わなくなってしまいましたが、春は心機一転の季節。ピカピカとした一ダースの六角鉛筆を揃えて、さあ何かを始めるぞ、という意気込みが爽やかです。(栗山心)
一針の四翅六角の蜂の巣へ ハードエッジ
火事跡の六波羅様を歩きけり 中山泡
○山田露結
■歩いているのはたぶん放火犯人(山田露結)
花菜漬六平直政風寮母 今村豊
○豊永裕美○近恵○栗山心
■「六」で六平直政が出て来るとは。ちょっと怖いけど、実は世話好きで情に厚い寮母さんが見えてきました。漢字のみ表記もご本人のイメージに合っている感じ。こんな句に出会えるのが、週刊俳句の真髄。今回、一番楽しかった句でした。(栗山心)
■花菜漬はやさしいのに、六平直政風寮母ってかなり怖そうです(近恵)
■いかにもそんな寮母居そうです。面白い!(豊永裕美)
汽笛となつて六甲に夏が来る 村田篠
○小市○野口裕○六番町○藤幹子
■勢いがいい。音と共に御しきれない大きなものがやってくる、期待と興奮、まさに夏。(藤幹子)
■ 汽笛=夏という視点。山をのぼってくる音の景気のよさ。いいですね。(六番町)
■汽笛は船の汽笛、六甲の夏は神戸港からやってくるのだ。(小市)
■山迫る港町の景が鮮やかです。(野口裕)
畦を焼く六等身の人ばかり 中村遥
○山田露結○遊起○透水
■二等身分は、畦と共に焼いてしまったのだろう(透水)
■畦を焼くと火の勢いを見守る姿勢はやや俯き加減の農民の姿。賛辞としての六頭身(等?)(遊起)
■おとぎの国の人達かも(山田露結)
行く春の六弦に届かない指 近恵
○栗山心
■五五七のリズムが、届きそうで届かないもどかしさを表しているようです。ボサノバでも聴いてみたい「行く春」の気だるい感じ。(栗山心)
四六の十テストの後の老母晴晴 バンの
宿六と甚六ならび鯉のぼり 忠義
○村田篠
■夫と長男と鯉のぼり。「ろくでなし」の男たちへの情が感じられるところがいいです。(村田篠)
春あけぼの六方踏みて去りゆくもの M-s
○バンの○藤幹子○石原明○今村豊
■何か得体の知れぬもの感。句柄が大きい。(今村豊)
■そういえば歌舞伎役者の死が続いた。(石原明)
■あやかしのような神様のようなものが、居なくなってしまう。ほのぼのとさみしい。(藤幹子)
■去るものを人それぞれが惜しむ朧感が良いですね。(バンの)
風光る六角橋商店街 柏柳明子
木の芽雨ちくちく育つ第六感 fuchi
○豊永裕美○バンの○遊起
■ちくちく育つ、の感覚に共感。ひと雨ごとに木の芽も痛々しいほど育つ。(遊起)
■季語と「ちくちく」の取り合わせが良かった。(豊永裕美)
■リズム感に好感を持ちます。「ちくちく育つ」が良い。(バンの)
問六の答えは白いチューリップ 六番町
○中山泡
■「白い」が良いですね。(中山泡)
六つ切りのパンの一切れかぎろへる 豊永裕美
六月の花嫁と決め出刃を研ぐ 透水
○小市○野口裕○忠義○独楽
■下五の迫力に参りました。花嫁、怖い。(独楽)
■一度読むと忘れられない句だ。花嫁になると決意したとも、花嫁を襲撃対象と決めたとも読める。(小市)
■お幸せに。(野口裕)
■幸せを求める女性の執念をこの句に見た。(忠義)
六月の死者のひとりは若き故 石原明
六月の腹の具合を星に聞く 遊起
六月やあはれあはれと水を掻き 山田露結
○中山泡
■六月が効き過ぎな気もしますが、ゆったりした感じが好きです。(中山泡)
六弦の合はぬが苦なり藤の花 石井薔子
○青葉有
■五本の指しかない人間にとって六弦は、悩ましいもの、その弦と藤の花との取り合わせが良いと思う(青葉有)
六限を学食に待つ春セーター 栗山心
○石井薔子○石原明○今村豊○KIYOAKI FILM
■学生の喜び。『春セーター』のよく分る服。(KIYOAKI FILM)
■題詠は「六」が一番難しかったが、これは上手い。(今村豊)
■次の授業に間が開いたのであろう。六限ならば午後遅くである。友人、または恋人と学食でおしゃべりをしている風景か。春セーターの明るさが印象的。(石原明)
■春セーターがいい。(石井薔子)
六甲のふところ深く山つつじ 野口裕
六歳で人形の髪洗ひたくて 小松三々
○fuchi
■そうそう。ジュモーのレプリカの金髪なんか、今でも洗っちゃいたい気分です。(fuchi)
六周年迎え栄螺の焼け具合 独楽
○遊起○近恵
■豪勢な挨拶としてポイントが高いです(近恵)
■めでたいときの栄螺、焼けて磯の香りがしてきます。(遊起)
六人の武者震いかな熱帯魚 KIYOAKI FILM
六道の辻から吹くよ若葉風 青葉有
○忠義○透水
■清々しさに酔いしれる。ヒーローのように(透水)
■悟りに届かない人たちの心は風によって辛くもなり心地よくもなるのだろう。(忠義)
贅六が築きし春のバリケード 小市
○fuchi
■五句連作の一句目として取らせていただきました。「贅六」は自分への自嘲のように思える。(fuchi)
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2013-05-12
創刊6周年記念誌上句会 【六】選句と作者・一覧
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3 comments:
一針の四翅六角の蜂の巣へ
私自身は三番目でしたが、もっと点が集まると思っていました。意外でした。
さへづりて六角鉛筆一ダース 藤幹子
鉛筆が六角なのは当り前。
当り前を敢えて言うのも俳句ですが、
(無論、今回は兼題ですし)
ならば、
数量に逃げず、
六角鉛筆一本勝負に出るべきでは、、、
鉛筆や六角形にさへづるよ、とかね。
六角鉛筆、蛇足。
春寒し赤鉛筆は六角形 星野立子
暖色の赤に六角形の冷たさが
春なのに寒い、と対比されるのか?
が、私のイメージでは赤鉛筆は
あくまで、六角ではなく丸棒
下六という事もあり
立子ファンではありますが取れず。
春の鳥赤鉛筆のしん太し 下村槐太
こっちの方が赤鉛筆らしいかと、、、
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