林田紀音夫全句集拾読 280
野口 裕
水仙を隅の日なたに襁褓干す
平成四年、未発表句。孫俳句のようでもあるが、この時期に娘さんはまだ結婚していない。娘さんが生まれた頃の回想句か。
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湯気立てる薬缶この世の何の刻
平成四年、未発表句。日常の何気ないひとときが、そのまま異界へと通じる。時が止まったような、時が一気に何億年も過ぎるような。多分そうした感覚を句にしようとしたのだろう。成功しているかといわれると微妙。
夕刊を抜く雪空の裾あかね
平成四年、未発表句。郵便受けの蓋や、門扉の鉄柵に挟んだままになっている夕刊を抜き取ったところか。わずかの距離とはいえども、しばらく屋内にいてからの戸外だっただろう。雪空と書いてあるが、雪はすでに止んでいるかも知れない。冷え冷えとした空気感の中で見る茜空が新鮮な感覚をもたらす。
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2013-08-25
林田紀音夫全句集拾読 280 野口裕
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