自由律俳句を読む 14 河東碧梧桐〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、河東碧梧桐句の鑑賞を行う。
子に高々と祭の飾り花を挿し 河東碧梧桐
賑やかな、温かな雰囲気が伝わってくる。この女の子もさぞかし笑顔でいたのではないか。
炭挽く手袋の手して母よ 同
「母よ」が感傷的すぎるとみられるかもしれない。手袋をとった母の手は、ごつごつにささくれていたことだろう。私はこうした単語を含めて、働き者の母の姿を描いた、きれいな生活詠だと思う。
毛虫が落ちてひまな煙草屋 同
毛虫が落ちても、この煙草屋は何の反応も示さなかったことだろう。ひまだからといって、行動を起こしたいわけではないのだ。個人的に、こういう雰囲気の商売をしたいと考えることがある。
泣く話しての笑ひ話よ 同
人はすぐに悲しみを忘れることができる。だからこそ、人は幸せに暮らして行くことができる。「泣く話」より「笑ひ話」を句に詠んでいきたい。
君が病む窓の黒猫が寝てゐる 同
病んでいる君をお見舞いすることもできず、ただ部屋の窓を見上げるばかり。君の側にいられる黒猫がうらやましい。「君」が同性ならば、また話は少し変わってくるが。
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2013-10-06
自由律俳句を読む 14 河東碧梧桐〔2〕 馬場古戸暢
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