自由律俳句を読む 24
『群妙』 〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、『群妙』13号(2013年3月発行)掲載句の鑑賞を行う。
そこにあすこに母が居るふるさと 田中利男
「ふるさと」というのは、どうにも哀愁を漂わせていていけない。今は既にない母の面影が、ここかしこに残っているのである。
幼な子の手を引いて妻は夕焼け 藤川正雄
若い家族の生活詠。夕焼けに染まる妻は、いつもにもまして美しく見えたに違いない。
おぞうに食べてみんなまあるいえがお 中村優凛
作者は防府市立図書館自由律俳句講座の生徒で、小学二年生だという。お正月のあたたかさが出ている、いい句だと思う。
高熱の空をつかむ手私とつながる 川上芳江
高熱にうなされる家人を看病しているところを詠んだ句。無意識に伸ばされた手をつないであげるだけで、大分体調も落ち着いたことだろう。
ピクニックびより父が燃えている 林深加
よく晴れたピクニックびよりの今日は、父の葬儀の日。「燃えている」の直接さが淡々とした印象を産むとともに、作者の涙を隠しているかのようにも思える。
2013-12-22
自由律俳句を読む 24 『群妙』 〔2〕 馬場古戸暢
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿