2014-03-23

10句作品テキスト 斎藤朝比古 鈍器

 鈍器   齋藤朝比古

縦四方固めのやうに雪残る
甘噛のさせ放題や春炬燵
鳴かぬ虫ばかり穴より出で来たり
春昼の部屋に鈍器の二つ三つ
卒業の日の樹の幹に触れてをり
兄弟の無くて従兄弟やあたたかし  
墨東にゐて蓬餅日和かな
朧夜の靴待つ家へ帰りけり
銀ブラのブラはブラジルうららけし
滲みゐる終着駅の春灯


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