自由律俳句を読む33
内藤寸栗子 〔1〕
馬場古戸暢
内藤寸栗子(ないとうすんりつし、1873-1936)は、丹波出身の自由律俳人。『層雲』初期より没年に至るまで、井泉水に師事した。以下『自由律俳句作品史』(永田書房、1979)より、数句を選んで鑑賞したい。
また白壁に石蕗の花添う冬が来し 内藤寸栗子
寸栗子にとっては、白壁に石蕗の花が添う様に冬をみるのが日常だったのであろう。今年はどんな冬となることか。
塚の古さに鶯啼けりふるさと 同
たまにふるさとに帰って散策していると、新たな発見があるものだ。改めてみてみると、この塚はなかなかに古い。ご先祖様もこれを見て暮らしたのだろうか。
故郷遠き天窓の夜が明けた 同
前句とは異なり、こちらでは故郷を遠く離れている。夜明けを窓越しに眺めていると、どうにも故郷を思い出してならない。
なやましき春の牛の角が曲がつて居る 同
そこまでなやましいことではないように思うが、こうした句を詠めることに、すなわち、牛が生活の中にある暮らしに、少し憧れる。
紅い山茶花の病人の家はここなる 同
お見舞いに訪ねたら、家の前に赤い山茶花が咲いていたのだろう。わかりやすい目印となった。
2014-03-02
自由律俳句を読む33 内藤寸栗子 〔1〕 馬場古戸暢
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