自由律俳句を読む37
川西和露
馬場古戸暢
川西和露(かわにしわろ、1875-1945)は、河東碧悟桐による第二次全国遍歴中に、城崎温泉にて碧梧桐と出会った。創刊時より『海紅』に参加。また1914年には、新傾向誌『阿蘭陀渡』を創刊している。古俳書蒐集家としても知られる。以下『自由律俳句作品史』(永田書房、1979)より、数句を選んで鑑賞したい。
秋の水あつまり木立に入りぬ 川西和露
山や林の中を散策しているところか。まだ陽射しが強いため、休もうと木立に入ったところ、秋の水が静かに集まっていたのだろう。水と木々の音だけが聞こえてくる句。
うぐひすのくもりひく山山を焼く 同
山々へ火をつけたのは作者だったのかもしれない。山々が焼かれると、このうぐいすはどこへ向かうのだろうか。
夕ぐれのいつしよくたの葉鶏頭 同
夕陽に赤く染まる鶏頭の様子が浮かんでくる。しかし着目したのは葉の方。確かにそんなに個体差はみられない。
炭がはぜた火鉢ではぜた 同
内容よりはむしろ調べを楽しむ句。この後に「俺へはぜた」などとつながっても面白い。
とんびが鳴いたてんてんてんのくぼ 同
この句も前句と同様、音を楽しみたい。てんてんてんのくぼとは、とんびの鳴き声か、それとも何か場所のことか。
2014-03-30
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