自由律俳句を読む43
本間鴨芹〔1〕
馬場古戸暢
本間鴨芹(ほんまかもせり、1967-)は、北海道在住の自由律俳人。2012年より句作をはじめる。『海紅』同人として、活動を続けている。
丘の夕陽いつか一緒に暮らしたかった 本間鴨芹
いましがたインターネットで、90年代の邦楽をきいていた。そのうちのひとつに、「会いたいけれどもう会えないんだね」という歌詞があった。掲句もこれを詠んだものだったろう。
明日には流される貝並べている 同
波はすべてを持って行く。「俳句」もさながら、この貝のようなものなのかもしれない。
やわらかく秋となる子の手のひら 同
ここでの「やわらかく」は、「秋となる」にかかると同時に、「子の手のひら」をも形容しているように思う。子の手のぷにぷにには、なんともいえない柔和さがある。
今日頭下げた数だけ佃煮喰う 同
日本社会で暮らして行くということは、こうした経験を積み重ねることなのかもしれない。しかしうまいストレス解消法だと思う。
落ちつきないおばあちゃんの冷凍みかん 同
もともと落ちつきがないおばあちゃんなのか、それとも、冷凍みかんを持っているがために落ちつきがなくなっているのか。そうだとすれば、なぜか。おばあちゃんが健やかに暮らせますよう。
2014-05-18
自由律俳句を読む43 本間鴨芹〔1〕 馬場古戸暢
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