自由律俳句を読む44
本間鴨芹〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、本間鴨芹句を鑑賞する。
軽トラから落ちて案山子無表情 本間鴨芹
田舎での景だろう。昭和らしさを感じもする。この案山子はどこへ行く予定だったのか。そして落ちて後、いったいどういう運命を辿ったのだろうか。
後部座席眠っている手にもみじ 同
紅葉狩りへ家族へ出かけた帰りの車内での景か。はしゃぎ疲れた子の様子を、バックミラーでのぞき見ているのだろう。この手が奥さんのものであったら、また違った愛おしさが出てくる。
団欒漏れてくる路の鼻毛しばれる 同
しばれるは、東北や北海道の方言で、きびしく冷え込むことを意味するという。冬の住宅街を、自身の家へ向かって帰っているところか。鼻毛がしばれない(?)我が家ももうすぐである。
お祭りなんて聞いてないよ遠回り 同
お祭りのために、交通整備がなされており、迂回せざるを得なくなった。全体として、ほんわかとした雰囲気を醸し出している。
病院へ急ぐ虹がついてくる 同
親しい人が病院へ運ばれた。急いで向かわなければいけないが、どこまでもついてくる虹がちょっとばかり気になったのである。この虹が、快癒をもたらしてくれますよう。
2014-05-25
自由律俳句を読む44 本間鴨芹〔2〕 馬場古戸暢
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