後記 ● 西原天気
今週の10句作品は、まず、荒川倉庫さんの「豚の夏」。これで週俳誌上での豚さんの四季が完結しました。
豚の春 (二輪通名義)2008-04-20
≫http://weekly-haiku.blogspot.jp/2008/04/blog-post_20.html
豚の秋 2013-10-27
≫http://weekly-haiku.blogspot.jp/2013/10/10_5480.html
豚の冬 (二輪通名義)2009-01-18
≫http://weekly-haiku.blogspot.jp/2009/01/blog-post_18.html
2008年春からですから、6年越し。小誌としても感無量です。
最初の句は、
地虫穴を出づれば豚に湧く疑惑
「疑惑」から始まったのですね。なんだか意味深長。
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もうひとつの10句作品は、この7月に当番の一員となった福田若之さんの「小岱シオンの限りない増殖」。「ご挨拶代わりに、どお?」と打診したところ、エラい実験的でチャレンジングな10句を送ってきよりました。
コノタシオン=コノテーションは「言外の意味」くらいに受け取ればわかりやすいかもしれませんが、それだとインプリケーション(ほのめかし、含みetc)という、少しカジュアルな語とカブる。
むかしは「随伴的指示内容」などと訳されているのも目にしました(co-の部分にこだわった訳語?)。なに、それ、画数多い! なんでそんなにページをイガイガさせるかなあ、てな感じですが、当時は訳者にもリキが入っていたのですね。
ま、そんなような暇ばなしはさておき、作品を読んで、お楽しみください。
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松本てふこさんから、句集評「スカートの中の青空 内村恭子句集『女神』を読む」を寄稿いただきました。
小誌では、最新句集はもちろんのこと、お読みになった句集について、また俳誌等のレビューを、いつもお待ちしています。
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上田信治「結社のこれからetc. (2)」は、前回はマクラであったのか、と思わせるほど、「結社」、そしてその「中にいる人」について、とても微妙な部分に言い及んだ記事。
結社って、ある人たち(結社の成員)にとっては、俳句の「環境」として「自然」なものなのでしょうが、別の人たち(私もそう)にとっては、「外」のものとして対象化される存在です。
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私は、このまえ神戸まで歌人さんたちのシンポジウムに出かけた、そのレポート(というか感想文)を書きました。その日の様子が手に取るようにわかる、という感じにはまったくなっていません。
なってたら困ります。入場料を払って聴いた人に申し訳がたちません。「読んで行った気になろうなんて甘えんだよ」という話です(これ、レポートする側にとっては、良い言い訳ですね)。
読んだ人に「今度こういうのがあったら行ってみようか」と思ってもらえるような記事になっていたらいいのですが。
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それでは、また、次の日曜日にお会いしましょう。
no.379/2014-7-27 profile
■荒川倉庫 あらかわ・そうこ
1972年千葉県生まれ。第1回北斗賞佳作。
■福田若之 ふくだ・わかゆき
1991年東京生まれ。「群青」、「ku+」に参加。共著『俳コレ』。
■松本てふこ まつもと・てふこ
1981年生まれ。2000年、作句開始。2004年「童子」入会。同年「新童賞」受賞。『新撰21』『超新撰21』(邑書林)に小論で参加。アンソロジー『俳コレ』に入集100句。2012年「童子賞」受賞。「童子」同人。
■橋本 直 はしもと・すなお
1967年生。「豈」同人、「鬼」会員。「俳句の創作と研究のホームページ」
■黒岩徳将 くろいわ・とくまさ
1990年神戸市生まれ。俳句集団「いつき組」所属。第5回石田波郷新人賞奨励賞。
■柴田千晶 しばた・ちあき 1960年横須賀生。「街」同人。句集『赤き毛皮』(金雀枝舎)、共著『超新撰21』『再読 波多野爽波』(どちらも邑書林)。詩集『生家へ』(思潮社)など。映画脚本「ひとりね」。https://twitter.com/hiniesta2010
■馬場古戸暢 ばば・ことのぶ
■淡海うたひ おうみ・うたい
1955年神奈川県横須賀市生まれ。2004年、写真集『寺ねこ』(河出書房新社)俳句担当。2010年、第一句集『危険水位』(本阿弥書店)出版。俳人協会会員。
■上田信治 うえだ・しんじ
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