自由律俳句を読む 68 中塚唯人〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、中塚唯人句を鑑賞する。
お尻から冬の体重を持ち上げる 中塚唯人
冬の着ぶくれた雰囲気が伝わってくる。こころなしか、夏より重そうに思える。
幸せも不幸せもごちゃまぜてお神籤ひいた 同
個人的な話であるが、これまでの人生において大吉をひいたことがない。いつの日かひいてみたいが、それで運を使い果たしてしまいそうで怖くもある。
夕焼け小焼けで柘榴が割れる 同
夕焼け小焼けが広がっているのであれば、柘榴が割れるのも仕方なく思える。
笑顔でずかずかやってきて春になる海 同
真顔でずかずかやってきたならば、季節は冬、入水志願者となるだろうか。海には笑顔がよく似合う。
ポチ袋に入ってた日本晴れ 同
お年玉を渡した子の表情を詠んだものか。さぞかし大金であったに違いない。
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