〔今週号の表紙〕
第399号 ラディッシュ
雪井苑生
ラディッシュ。この写真のは細長いけど、丸くて真っ赤なものがお馴染みだ。
日本には明治時代に入ってきたそうだが、小さい頃見た記憶はあまりない。20代の頃、当時人気だった雑誌「anan」のある頁に、ピーターラビットの小さなボウルに葉つきのまま無造作に入っているラディッシュの写真が載っていて、そのとても洒落て新鮮な雰囲気が忘れられず、後にピーターラビットの食器を手に入れた時真っ先にマネしてみた。
例えば朝食のサラダ代わりに、丸のままかじるのがカッコいいというかお洒落、という雰囲気。まあその後丸かじりするよりスライスしてサラダに入れたり甘酢漬けにしたり、ディップソースをつけたりするほうがおいしいのがわかって、だんだん料理法も変わってきたけれど。
そういえば「赤蕪」にラディッシュというルビを振ってあるのを見たことがあるが、ラディッシュは二十日大根で蕪ではない…とはいえ丸いのは蕪に見えるので通称になっているようでややこしい。
最近はスーパーでも常に置いてあるし、近所の農産物直売所に行くと丸いのから細長いのまで色んな種類が売られている。一方蕪のほうも生食に適した新しい品種が多く出回っており、本物の赤蕪や、紫色をしたアヤメなど、ラディッシュ同様サラダでも浅漬けにしても美味しい。でもラディッシュの紅い色はやっぱり私にはなつかしく特別な色かな。
最近好きなディップソースはバーニャカウダー。これは朝食より夕食の前菜。ちょっとほろ苦いラディッシュをかじると、いつも遠い昔のあのananの写真を思い出す。
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