自由律俳句を読む 72
現代自由律百人句集第II集〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、『現代自由律百人句集第II集』を鑑賞する。
崖から松の根はみだした 田中昭雄
そのままの状態を詠んだものだが、4・4・5の韻律が心地よい句。子供と一緒に叫んで歩きたい。
朝の月が向こう側まで見せている 田中里美
朝方に見る月には、なんだかいつもとは違う光が宿っているように感じるのである。
ひなたぼっこの昔話を聞いている ちばつゆこ
縁側での景だろう。季節は冬か春か。祖父母から昔話を十分に聞かなかったことを、いまだに少し後悔している。
寒さの影は踏まない 戸田勝
冬は影が多くなる気がする。果たして無事に目的地までたどりつくことができるのだろうか。
朝から血眼のチラシが迫る 松尾貴
特売のチラシは、やたらと赤い。それを血眼と表現したところに、面白みがあるだろう。あるいは、血眼が元としてあって、特売のチラシは赤いのか。
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