自由律俳句を読む 76 富永鳩山〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、富永鳩山句を鑑賞する。
影が陽をつれてくる 富永鳩山
夏の朝の訪問客の様子を詠んだもののように思った。夏の影はどうにも濃くて、その背後の陽射しの激しさを表しているようなのである。
不機嫌な時間と旅している 同
旅先で、相方の機嫌が損なわれたのだろうか。しかしそれもまた旅のひとこまであって、後になればよい思い出に昇華する。ただ今が、面倒くさいだけなのだ。
秒針ていねいに命きざんでいる 同
病室の置時計を想像した。気になりだすと気にしないではいられないのである。
ダンプカーで来た女と美術展を見る 同
帰路にあっては、ダンプカーの助手席に座ることができたことだろう。少しばかり羨ましい。
踏めば泣く落ち葉の道だ 同
先日、落ち葉の道を歩んでいる際に滑り転びかけたことがあった。泣いているにも関わらず、踏み続けたためかもしれない。
2015-01-18
自由律俳句を読む 76 富永鳩山〔2〕馬場古戸暢
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