自由律俳句を読む 83
小山貴子〔1〕
馬場古戸暢
小山貴子(こやまたかこ、1951-)は、尾崎放哉の研究家として知られる、自由律俳人。1975年、層雲に入門。近年、『自由律俳句『層雲』百年に関する史的研究』(自費出版、2013年)を出版し、自由律俳句誌『青穂』を創刊するなど、ますます精力的な活動を展開している。以下では数句を選んで、鑑賞したい。
秋口の光る鋏で切ってあげます 小山貴子
先日韓国焼き肉店に行ってきたせいか、この「秋口の光る鋏」は生肉を切るものであったように思う。
固唾をのんで森の月蝕 同
森で月蝕を観察していたのだろう。現代日本において森に相当するところは、どこにあるのだろうか。一度赴いてみたい。
網膜に残ったものを整理する 同
なんらかの病気を網膜に患い、その摘出手術の様子を詠んだものか。それとも、思い出のことか。いずれにせよ、大事に至らないようにしなければならない。
売り子の声も小さく終着駅 同
網膜に残ったものを整理する 同
なんらかの病気を網膜に患い、その摘出手術の様子を詠んだものか。それとも、思い出のことか。いずれにせよ、大事に至らないようにしなければならない。
売り子の声も小さく終着駅 同
終点らしく、この駅は小さいものだったのか。そうなれば売り子の声も小さくて十分だろうが、客が少ないためになかなか売れないのではないか。ここが何かの観光地を有する地であれば、売り子に頑張る余地はあろう。
俯いて低い靴音にいる 同
俯きながら歩いているところか。俯いているところに、低い靴音が近づいてきているのか。ホラーがはじまる予感がする。
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