自由律俳句を読む 84
小山貴子〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、小山貴子句を鑑賞する。
右手坂のぼりつめると青空です 小山貴子
右手坂のぼりつめると青空です 小山貴子
ちょうど右手に延びる坂の上に青空が乗っている様子が、目に飛び込んできたのだろう。それを誰かに紹介しているところか。
たそがれを自転車屋までひっぱって行く 同
たそがれを自転車屋までひっぱって行く 同
夕暮れ時に自転車のタイヤがパンクし、仕方なく自転車屋まで自転車をひっぱって行っている様と見た。三回ほど、こうした状況に陥ったことがある。大変である。
鷺どこまでも白くて一羽でいる 同
鷺どこまでも白くて一羽でいる 同
「どこまでも」は、白さと一羽、どちらにかかるのか。おそらくは両方であって、鷺の美しさと孤独な様子が浮かんでくる。
たいして苦労もなさそうな水仙咲かせている 同
たいして苦労もなさそうな水仙咲かせている 同
苦労か否かという感覚をもたない水仙は、確かに苦労知らずだろう。幸せな花を見ていると、こちらの日々の苦労など吹き飛んでしまいそうである。
敬語の男と二杯目のお湯割り 同
敬語の男と二杯目のお湯割り 同
近すぎず遠すぎずの関係の男と飲んでいるところ。どのような話で盛り上がっているのだろうか。
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