【八田木枯の一句】
深夜よりかがやくものは花の種
西原天気
花の種には、まあ、種子一般そうではあるのですが、〈未来〉があります。
深夜よりかがやくものは花の種 八田木枯
朝あるいは昼に蒔かれる種が深夜からしてすでにかがやいている。これは種子が〈未来〉を包含しているから、ということも言えましょう。
茎や葉を伸ばし花を咲かせて実を結ぶそうした〈未来〉よりも、〈未来〉を〈予定〉として、あるいは〈思い〉〈希求〉として持つ種子のほうが〈未来〉そのものよりもむしろかがやかしいのかもしれません。
掲句は第6句集『鏡騒』(2010年)より。
細かいことを言えば、「に」ではなく「は」という選択に注目。「~するもの(のひとつ)に~」というパターンを忌避したうえでの「は」でしょうか。花の種こそが深夜よりかがやくものなのだ、という断言となり、「に」パターンから遠い出来上がりになっていると思います。
2015-03-22
【八田木枯の一句】深夜よりかがやくものは花の種 西原天気
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