自由律俳句を読む 87
高木架京〔1〕
馬場古戸暢
高木架京(たかぎかきょう、1952-)は、福岡を拠点に活動している自由律俳人。1996年に、重富架光が率いる『新墾』に合流して以降、『層雲』へも加入するなど、活動の幅を広げてきた。2014年には新たに創刊された『青穂』に参加。以下では数句を選び、鑑賞したい。
行き先の違う雨を帰っていく 高木架京
「行き先の違う/雨を/帰っていく」、と読むべきか。雨天の中、それぞれの帰路についたところだろう。「行き先の違う雨」と読むと、少しばかりファンタジーが広がるように思う。
にほひ袋ほしいとねだる春霞 同
にほひ袋なるものが存在することを、これまで知らなかった。江戸期創業の専門店もあるようで、種類も多岐におよんでいる。春霞に似合ったにおひを求めたくなる。
触れたい手が遠い月明かり 同
一緒の空間において、月明かりが射し込んでいるところだろう。さっさと触れてしまえばよいのにと思うのは、自身が第三者だからに過ぎない。
月の冷たさをテーブルに置く髪飾り 同
月明かりが射し込んでいるテーブルか。女性らしい句。
風鈴に君の風がきている 同
外―君―風鈴-私の並びとなっているところか。それとも、並びに関係なく、君のような風がきていたのか。子供の頃、祖母宅近くに広がる海を「ばあちゃんの海」と呼んでいたことを思い出した。
2015-04-05
自由律俳句を読む 87 高木架京〔1〕 馬場古戸暢
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 comments:
コメントを投稿