2015-06-21

自由律俳句を読む 98 青木此君桜〔2〕 馬場古戸暢

自由律俳句を読む 98
青木此君桜〔2〕

馬場古戸暢



一と足うしろへ牛がうごいた  青木此君桜

音のない、静かな句。以前にも書いたが、牛が日常にいる生活への憧れを未だ捨てられないでいる。

顔ぼうぼうとあつくわらをたく  同

焚き火の句をいつか詠みたい詠みたいと思いながら、ついに詠んでない。焚き火をしたことがもう数十年単位でないからである。現代っ子なのである。

ここにひかりあつめているほうせんか  同

ひらがながかもし出す柔らかさが、よく出ている句。

小蟹の一番ちつこいのをかわいがる  同

この露骨なまでの分け方を区別と呼ぶか差別と呼ぶかで、呼ぶ人の能力が問われる。ちつこいのは仕方ないなあと思う。

一と鉢の黄菊  同

五四の韻律が、記憶に残りやすい。足らない感じも含めて、短くてよいと思う。

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