【八田木枯の一句】
水洟やどこにゐようと日は西に
西原天気
水洟やどこにゐようと日は西に 八田木枯
第5句集『夜さり』(2004年)より。
水洟という情けなくもちょっと愛しいもの。郷愁も漂ったりするのは子どもと結びつくからでしょうか(最近の子どもは水洟を垂れないのでしょうか。もしそうなら、失われた景。その意味でも郷愁)。
さて、私たちはオトナ。水洟が垂れないかというと、そうでもない。風邪でなくても、外気の寒さに水洟をつるっと。あるいは、じわっと。
それがどこであろうとも、身体が反応する。呼吸器系を守るための分泌。
それは、生きているなんだなあ、ということです。
人間の個体が生きるために水洟を垂らす。そういうちっぽけな努力と対照するかのように、太陽は大きく、毎日、西に沈んでいくわけです。
2015-12-06
【八田木枯の一句】水洟やどこにゐようと日は西に 西原天気
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