2016-01-17

〔今週号の表紙〕第456号 夜の辻 西原天気

〔今週号の表紙〕
第456号 夜の辻

西原天気



事件など、なかなか起こりません。でも、むかし、20歳くらいの頃、ひとりで夜の住宅街を歩いていると、とつぜん、「シンちゃん!」の声がして腕をつかまれたことがあります。わたし、本名も「シンちゃん」じゃありません。

「ほんともうどこ行って……」とことばが終わる前にその手を離した女性は、いわゆる水商売風。すぐに人違いに気づき、「すみません」と小声で言って小走りで去っていきました。後ろ姿がよほど似ていたのか。

どのくらい帰っていないのだろう。悲痛な声だったなあ。偶然見つけて、やっと会えて、うれしかったのだろうなあ。

シンちゃん。早く顔見せてあげなよ。



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