〔今週号の表紙〕
第464号 水辺
近恵
その日は3月上旬とは思えないほどに汗ばむくらい暖かな天気のよい日でした。昼前に出かけたら暑くて思わず水辺に寄っていってしまったのです。
二年ほど前にできた超高層ビルの入口にある、階段状になって流れ落ちる水です。車や付近の工事の音が激しくて解りませんが、朝方の静かな時間であれば、きっと涼しげな水音も聞こえるのだろうと思いました。
うっすらと糸のように、小さな水の紋がいくつもの儚げな波を作っては消えてゆきます。こんな水辺には河童は棲むことはできないだろうなぁなどと思いつつ、汁なし担担麺を食べに行くために水辺に背を向けたのです。
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