【週俳500号に寄せて】
祝 週俳500号
八上桐子
となり町でうろうろしていたら、好みの酒場に行き当たった。そんなふうに、ある日「週俳」と出会いました。
酒場にたとえるなら、まず、入りやすい。小さすぎず大きすぎず、仕切りの良い大箱といったところ。店主と客、客同士の距離も適度に保たれていて、一見さんが疎外感を感じることもありません。隅々まできれいに整理整頓されているのも気持ちよく、何より酒肴は、今が旬のものや、知る人ぞ知る一本や一品が丁寧に供され、主の意気込みが感じられました。
それからというもの三日にあげず通いつめます。店はますます繁盛しますが、雰囲気はいい意味で変わりません。玄関にはセンスの良い生花を欠かさず、品書きには必ず目新しいものが用意されています。店に向いながら、今日は何が出てくるのか…と、つい前のめりになるのです。
おかげさまで、私の貧弱な舌はいくらか肥え、好物もようやく分かってきました。じっくり味わいたくなって取り寄せたものもが家に並び、何とか真似できないかと試みた味も数えきれません。
もちろん、すすめられてチャレンジしたものの、苦手なものもありました。けれど、ここでなければ口にすることはなかったと思いますし、ふしぎなことにいかに苦手かをマジメに語りたくなるのでした。
そう言えば、場を荒らすような無粋な客はほとんどみえません。私も含め、大事に思っている人が集うのでしょう。
というわけで、「週俳」は、絶対につぶれてほしくない、行きつけの一軒のように存在しています。いつもは、ただしずかにいただいているだけですが、500号と聞くと、ささやかながら紅白饅頭の一つもお届けしたく…カウンターにこそっと置かせていただきました。ほんの心ばかりです。
2016-11-20
【週俳500号に寄せて】祝 週俳500号 八上桐子
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