【週俳5月の10句作品を読む】
句の感想
野名紅里
言葉によって作られたイメージに広がりが感じられる青本瑞季さんの「ばらばらな風景」と、ライトな表現と確かな実感が魅力的な岡田由季さんの「薔薇屋敷」、どちらも連作として面白かったが、今回はあえてその中のいくつかの句の評、というか、主観たっぷりの感想を書こうと思う。
朧夜のまばたきをみづ這ひのぼる 青本瑞季
曖昧な言葉とトリッキーな助詞を共感性で支えている感じがする。気持ちのいい句。
まばゆさを薄めてまはる風車 青本瑞季
この抽象的すぎる表現は風車でないと許されないだろうな、と思う。ふわっとしつつあっさりもしている。
茉莉花や短き電話秘書課より 岡田由季
秘書課からの短い電話にリアリティを感じた。
どの道を行つても躑躅先回り 岡田由季
躑躅はほんとうにどこにでも咲いている花だと思う。躑躅を身近なものとして親しみを込めて描いていることにとても好感が持てた。
雨後の薔薇大きく息をしてゐたる 岡田由季
雨上がりといえば、澄んだ空気が連想される。感覚的な薔薇に対する描写が句に清涼感を与えているなと思った。大好き。
2017-06-11
【週俳5月の10句作品を読む】 句の感想 野名紅里
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