後記 ● 西原天気
今日、8月6日は、1945年米軍が広島市に原子爆弾を投下した日。樫本由貴さんが特別作品30句を寄せてくださいました。アーサー・ケストラーが1967年の著書で、1945年8月6日を新しい暦の第1日にすべきと書いています。人類がみずからを滅亡させる能力を手に入れ、その実現に向かって第一歩(もちろんのこと負の第一歩)を踏み出した日だというのです。広島、長崎、日本に暮らした、そして暮らす人間にとっては、すこし思念的すぎる捉え方かもしれませんが、人間すべてにとってきわめて重大な日、ということには首肯できると思います。
当時の呉と広島を舞台にしたアニメ映画『この世界の片隅に』(こうの史代原作、片渕須直監督・脚本/2016年)は、原爆投下を直接的には描いていませんが、原爆が、戦争が、重い通奏低音のように流れ続けるかもようでした(この映画は、必見中の必見です)。そして今年、北米での公開が決まったそうです(8月11日から)。
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金原まさ子さんへの追悼記事は、先週号に引き続き、今週号も。先週がA面、今週がB面(レコードの喩えはもう通用しないですか?)というかんじ。信治さんも私も、すこしプライベートな内容です。
『カルナヴァル』以降250句は、今回、小誌の業績としてうれしく、また意義深いものと自負しています(句集が1冊できちゃう句数ですね)。
ところで、じつは、私にはまだ金原さんの死がピンと来ていません。お元気なとき、「先に逝くのは私たちだったりして」と笑っていたが、やっぱり順番どおりだったかとか、お通夜のとき、金原さんのお顔は生前と似ているようで似ていないなと思ったとか、なんだかヘンな感慨ばかりが押し寄せ、追悼記事を書いているあいだも、あの海に近いご自宅の椅子に坐っていらっしゃるかのような気分でした。不思議です。
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ほかにも、岡田耕治さん「西瓜」10句、黒岩徳将さんのイベントレポート、柳本々々のシリーズ「あとがきの冒険」など盛りだくさん。ゆっくりお楽しみください。
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それでは、また、次の日曜日にお会いしましょう。
no.535/2017-8-6 profile
■岡田耕治 おかだ・こうじ
1968年、中学生時代から俳句を始め、1978年、鈴木六林男に師事。1996年より「花曜」編集長、2009年より「香天」代表。句集に『学校』『日脚』。
■樫本由貴 かしもと・ゆき
1994年生まれ、広島市在住。広島大学4年生。広島大学俳句研究会代表。「小熊座」所属。
■柴田千晶 しばた・ちあき
1960年横須賀生。「街」同人。句集『赤き毛皮』(金雀枝舎)、共著『超新撰21』『再読 波多野爽波』(どちらも邑書林)。詩集『生家へ』(思潮社)など。映画脚本「ひとりね」。https://twitter.com/hiniesta2010
■佐藤文香 さとう・あやか
1985年生まれ。句集『海藻標本』『君に目があり見開かれ』。blog「さとうあやかとボク」
■黒岩徳将 くろいわ・とくまさ
1990年神戸市生まれ。俳句集団「いつき組」所属。第5回石田波郷新人賞奨励賞。
■柳本々々 やぎもと・もともと
かばん、おかじょうき所属。東京在住。ブログ「あとがき全集。」
■樋口亜茶子 ひぐち・あさこ
1965年生まれ。東京都在住。「街」会員。
■中嶋憲武 なかじま・のりたけ■柳本々々 やぎもと・もともと
かばん、おかじょうき所属。東京在住。ブログ「あとがき全集。」
■樋口亜茶子 ひぐち・あさこ
1965年生まれ。東京都在住。「街」会員。
1994年、「炎環」入会とほぼ同時期に「豆の木」参加。2000年「炎環」同人。03年「炎環」退会。04年「炎環」入会。08年「炎環」同人。
■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。共著『超新撰21』(2010)『虚子に学ぶ俳句365日』(2011)共編『俳コレ』(2012)ほか。
■西原天気 さいばら・てんき
1955年生まれ。句集に『人名句集チャーリーさん』(2005年・私家版)、『けむり』(2011年10月・西田書店)。笠井亞子と『はがきハイク』を不定期刊行。ブログ「俳句的日常」 twitter
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