【2017年週俳のオススメ記事 10-12月】
文章にパワーを
岡田由季
この時期の週刊俳句は通常運転で、落選展以外にはスペシャルなこともなく、基本的な、作品掲載→読む、の流れが続きました。週刊俳句の10句は、同じ方が繰り返しというよりは、初めて掲載される方が多いですから、今までに随分多くの作者が登場しているはずです。それでもまだ、登場していない魅力的な書き手はたくさんいると思います。これからもたくさんの出会いに期待します。と、いうか、出会えるようにしなくてはいけないですね。
10月から、彌榮浩樹さんの「肉化するダコツ」の連載が始まりました。毎回、テーマとなる飯田蛇笏の一句を、一語一語細かく検討し、一字変えてみたり、並べ替えたりしてゆき、最終的に、原句のゆるぎなさが示されます。「「神品」」「<霊>を感じさせる」といった表現からも、彌榮さんの蛇笏句への熱い想いが伝わり、驚かされます。例え同じものを読んでも、人の感じ方はそれぞれですから、彌榮さんと同じレベルで対象の句に感動できるかといえば、私の場合などはそうとも限りません。ただ、その細やかな着眼点に気付かされることも多いですし、蛇笏にこんな句があったんだ、と知ることもでき、楽しみに読んでいます。何より、対象への愛情の深さ、というのは文章にパワーを与えるように思います。この連載は、来年も続きます。どうぞお楽しみに。
9月から続いていた牟礼 鯨さんの連載「西遠牛乳」が10月29日号で最終回を迎えました。味わいのある文章に引き込まれ、なんとなく危なっかしい登場人物達に、ハラハラしながら読んでいました。この最終回を読んで私は、ようやく「あ、そういうことだったんだ」と気付くことがありました。(間抜けなことに、途中まで、Sは女性と思って読んでいました。)皆さんはいかがでしたか。
それから、手前味噌で申し訳ないのですが、10月18日号には小津夜景さんに海鳥のことをお聞きした「海鳥ダイアリー」を掲載しました。今改めて読むと、鳥との接し方も、小津夜景さんらしく、とてもユニークです。日本野鳥の会的なそれとは全く違います(野鳥の会がいけないと言っているのではありません、念のため)。気軽に読めますのでお読みいただければ嬉しいです。ところで、このインタビュー以来、私は鳥を見ることにはまっています。一番楽しんでしまったのは、自分だったかもしれません。
「句集を読む」では、上田信治句集『リボン』(11月30日発行)についての、トオイダイスケさんの記事が、早速、12月10日号に掲載されています。「愛おしく在る可く」という表現に、そう受け止めた読み手側の柔らかさ、繊細さを感じました。この記事のようなスピード掲載もネットならでは、なのですが、発行から時間がたった句集でも、読む記事は常に大歓迎です。この年末にかけて、また、たくさんの句集が上梓されました。どうぞみなさま、記事をお寄せください。
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2017-12-31
【2017年週俳のオススメ記事 10-12月】文章にパワーを 岡田由季
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