オン座六句「次のあじあ」
捌=北野抜け芝
[第1連]
花/春 陽よ花が次のあじあへふりそそぐ 大塚 凱
春 われらのなかのわれに春雨 北野抜け芝
釣竿を提げて木立を連れ立ちて 生駒大祐
言語野に棲む鳥のうれしく 柳元佑太
月/秋 講堂の鏡に月の入る時間 副島亜樹
秋 すすきながめてえいえんに馬鹿 宮﨑莉々香
[第2連]
恋 大天使同士の恋は毛深いと 福田若之
恋 いつくしんでは火の手があがる 青本瑞季
ゆけむりの白を印刷する夜更け 凱
誤植のやうな枕木の罅 若之
氷/夏 氷より生まるる蟬を握りつつ 加藤 靖
夏 麦茶はぼくの日々をおかさず 青本柚紀
[第3連]【自由律】
ソファーをはなれないアフリカゾウの空気 同
二つ返事の糞便 若之
恋 舐めてすつぱい目玉のことを書き残す 瑞季
恋 妙な苗字にかはる 莉々香
矢切の渡しをたかしと渡る日のひかり 凱
猫として育つ犬 西生ゆかり
[第4連]
石 床の間にあらたかな岩据ゑられし 瑞季
記憶つめたく痰壺に吐く 若之
R ありあまる富をころがしあふ手術 同
伸びゆく枝のどうしやうもなさ 瑞季
冬 冬めいた何戸袋に隠れゐて 凱
恋/冬 カイロがはりにふとももがある 三浦けいこ
[第5連]
母想ふアンモナイトをほどくとき ゆかり
まんだら越しにすりぬける風 凱
新年 町のぼんやりに初詣が濡れて 若之
夕暮れのきて羽のぱつきり 靖
花 花嫁の横顔すこしだけ崖似 凱
朝明けがきてみんなそつくり 執筆
二〇一八年三月三十一日 首尾
於:代々木公園
於:代々木公園
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