〔今週号の表紙〕
第578号 湧水
大江 進
あまりにも水の透明度が高くかつ風もないので、どこが水面でどこが水底だかわからないほど。樹木らしきものは岸辺の木が水面に映っているのか、水中に倒れこんだ木なのかも判然としない。よくよく見ると手前のすこし青白いところはかすかに動いているようなので、これは池の底から噴出する湧水だろう。
この池は、湧水のみを水源とする直径約25メートル深さ約4メートルの池で、地元=山形県遊佐町吹浦地区では畏敬の念をこめて丸池様と呼ばれている。水温は年間ほぼ一定の11℃、湧水量は毎分2トン(日量約3000トン)、不純物がほとんどないために倒木も数十年腐らないまま。この池にはないが、龍神伝説があっても不思議ではない。
人里近くでありながら周辺には人工的な光がないので、これから夏場にかけての蛍の乱舞もまた水面に倍加して写りじつに幻想的だ。
●
小誌『週刊俳句』ではトップ写真を募集しています。詳細は≫こちら
0 comments:
コメントを投稿