【空へゆく階段】№6
虚子一句
田中裕明
虚子一句
田中裕明
「水無瀬野」1992年8月号・掲載
明治三十八年作。子規のなくなったのが三十五年の秋である。この句より四日ほど前に「もの知りの長き面輪に秋立ちぬ」という作もある。これも子規のおもかげであるように思える。そういえば升さんの横顔はかなり長いものだったようだ。
この年、虚子は三二歳。こころ許せる句友とともに子規の墓に詣でたのであろう。「先生の墓に参りけり」という異同が別の本にはあるが、「突當り」という発見が手柄か。
虚子が俳句休眠にはいる三年ほど前である。この頃の句はごくおとなしい。それがよい。
0 comments:
コメントを投稿