2019-07-28

【句集を読む】月と星 栗林浩『うさぎの話』の一句 西原天気

【句集を読む】
月と星
栗林浩うさぎの話』の一句

西原天気


春月に星の竝べば腥(なまぐさ)  栗林浩

漢字「腥」を遊んで、なおかつ実感を誘う。なぜか、有機的で湿気を帯びた景と感じるのは、「春」の効果か。

句集『うさぎの話』には、軽妙・飄逸、それでいて、可笑しくても笑いすぎない句、抑制の効いたウィットがふんだん。

冷気立つずらり尾鰭のなき鮪  同

木と紙の家に三和土の涼しけれ  同

石に文字刻んで立てて梅真白  同

山向かうに西日ごろごろ溜まりをり  同


栗林浩句集『うさぎの話』(2019年6月/KADOKAWA)

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