【句集を読む】
月と星
栗林浩『うさぎの話』の一句
西原天気
春月に星の竝べば腥(なまぐさ)し 栗林浩
漢字「腥」を遊んで、なおかつ実感を誘う。なぜか、有機的で湿気を帯びた景と感じるのは、「春」の効果か。
句集『うさぎの話』には、軽妙・飄逸、それでいて、可笑しくても笑いすぎない句、抑制の効いたウィットがふんだん。
冷気立つずらり尾鰭のなき鮪 同
木と紙の家に三和土の涼しけれ 同
石に文字刻んで立てて梅真白 同
山向かうに西日ごろごろ溜まりをり 同
栗林浩句集『うさぎの話』(2019年6月/KADOKAWA)
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