ありえない音楽が聞こえる 青本瑞季
夜ゆゑに文月は草木はれやかに
澄む秋はあばらのこゑで軋みつつ
荻の袖眼の奥を歌たちのぼる
てのーるてのーる小鳥来るくちびるは熱
萩に衣服を歌ふ手つきでこぼれだす
孔雀から梵字あふれて秋の風
菊日和まばたくたびに褪せて背は
パラフィン紙ひよの盛りを入日して
焦がれては舟が芒となる夜か
燃えるたび鹿は麓をかきくらす
泪声ほやほやと野の鶉なる
来る鶴に糸巻きなほすぬるい部屋
秋虚ろ祝祭の首重くのべ
ぱれーどよ棗が舌に瘦せてゆき
感光の渦の鰯よさやうなら
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photo by Tenki SAIBARA
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