2019-11-17

【柳人インタビュー】竹井紫乙さんへの10の質問

【柳人インタビュー
竹井紫乙さんへの10質問

質問:西原天気
Q1 今週、何句作りましたか?

0句。結社に提出する句の推敲作業のみ。

Q2 きょう、朝起きてから2~3時間の行動をできるだけ詳しく(公表できる範囲で)教えてください。

今日は祝日でいつもより少し朝寝坊しました。

洗顔、身支度、洗濯。アイロンがけをするものが少しあったのでそれを済ませてから朝食。
ゴミ出し。足の爪のマニキュアを落として爪切り。家じゅうの掃除をざっくり。

近所のスーパーへ出かけて帰宅。で、起床から3時間経過という感じ。

Q3 現在お住まいの町はどんなところですか?

大阪府枚方市というところで「ひらかた」と読めない人が多いらしいです。

おそらく遊園地のひらかたパーク、菊人形、岡田准一さんが有名であろうと思われます。
田畑がまだまだ多く、水質が良い。数年前に越してきたばかりですが、

フレンドリーな人が多い町で暮らしやすいです。近所に昔ながらの銭湯があるのもいいところ。

Q4 触り心地が好きなものってありますか?

もう死んでしまいましたが、飼っていた犬を撫でるのが好きでした。

Q5 このたび第三句集『菫橋』を上梓されました。句集をつくっていくなかでいちばん苦労したことを教えてください。

いちばん、ということであれば制作費用です。句集は作りたいと思った時が作るべき時だと思っているので、予算があろうがなかろうがどうにかします。それでも限度額というものはありますから。

句集作り自体はこれで三度目なので、初めての自選ではありましたが、苦労ということは特にありませんでした。

Q6 『菫橋』制作のあいだに起きたスペシャルなことを教えてください。トラブルでも心温まるエピソードでも心霊現象でもなんでもかまいません。

第三句集の準備段階で、大阪中崎町の「葉ね文庫」店主の池上さんに助言を求めたのですが、それが助けになりました。

装丁画を引き受けて下さった山口法子さんと、版元「港の人」の上野さんの仕事の速さに驚きました。プロフェッショナルだなあと。

低予算であった為に消費税増税前にすべての作業を済ませる必要があったのですが、お見事でした。

このお二人には仕事を断られてもしかたがないような無理をきいていただき、感謝しています。

対話の相手をしていただいた柳本々々さんには第二句集の時から無茶振りばかりしているのですが、今回もしっかり依頼を受け止めてもらって作業を進めることができました。

句集の完成は皆様のお力添えのおかげです。

Q7 『菫橋』の刊行後、身辺に変化はありましたか?

なんにもありません。

心境の変化なら。

本の完成後に「港の人」の上野さんとお会いする機会があり、少しだけお話する時間をとることができたのですが、ある意味、上野さんという方自体が衝撃的でした。世の中にはこんな人がいるんだなあと驚きましたし、

自分のしごとをする。ということは一体どういうことなのか、ということについて考えさせられました。

(上野さんは、立ち位置としては裏方のひとですが、一度「週刊俳句」でインタビューしてみてほしい人です。)

私も「自分のしごと」っていったい何だろう、何ができるだろうか、ということを真面目に考えたくなりました。

Q8 どういうわけか、雄鶏を飼うことになりました。なんて名前を付けますか? 命名の由来も教えてください。

「若冲」。鶏なだけに。

私は鳥が苦手ですが、小学生の時に飼育委員として学校の鶏の世話をしたことがあります。

鶏を飼うことは一生あるまい、とその時思いました。本当に怖かったです。

でも、どうしても飼育せねばならないなら、せめて画家の名前でも付けて、敬意の念を無理やり自分に植え付けないと

耐えられないのではないか、そんな気がします。

Q9 目が覚めました。何十時間も眠ってしまったらしく、おなかがぺこぺこです。何を食べますか。

おじや。或いは食パン。ラーメンもいいかも。卵も食べたいかな。お味噌汁、緑茶、紅茶、コーヒー、水。

Q10  好きな自然現象について、教えてください。

基本は晴天であることを好みます。

雨の日は草花が美しく見えるし、お気に入りの傘をさすことができるので嫌いではありません。

花が咲くのを見る度に嬉しい気持ちになることは不思議ですが何度見ても、毎年見ても、同じ花はひとつもないことを確認することが新鮮なのかもしれません。

今年最もびっくりしたことは、夜、帰宅し、玄関のドアノブを掴んだ時に小さなカエルも一緒に握ってしまったことです。

私は生まれて初めてカエルに触れました。気持ち悪かったです。その後玄関の表面になにかのたまごが産み付けられており、この住居がかつて田畑の中にあった場所であることを実感させられます。


竹井紫乙 近作十句

石踏めば海へと降りる券売機

改札で紐がほどける玉手箱

らららら・らららら背中に花咲く

律令が軽石になる交差点

ほうほけきょ私の舟はミドリ色

外されたボタン常緑樹のまんま

美容液いぬの名前が付いている

吟味した烏賊とぴかぴかする娘

システムキッチンは完璧な菫

艶やかな黒が抜け殻なのですね


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