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鋼の卵 藤田哲史
湖は細波もない二月末
ペーパーウェイトは鋼の卵冴返る
啓蟄のナイフ・フォークの眩しいこと
梅と雨君は得意のハナモゲラ
早春は餅屋に響く掛時計
卒業期サンドイッチのきゅうりの味
会いたさはクレソン乗せる皿の円
松の芯放浪癖は僕に今も
のどかな日自転車が踏む水たまり
夕星の弘法市に苗木見に
囀に木の息づきが託される
花のころ日が差している製図台
静寂をつばめが冒すことかすか
虻の空別れのときのふざけ方
ペリカンがよろめいている日永です
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毎週日曜日更新のウェブマガジン。
俳句にまつわる諸々の事柄。
photo by Tenki SAIBARA
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