2020-03-08

10句作品 生駒大祐 口伝花語

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口伝花語   生駒大祐

振り仮名を濡らすくらゐの月の春

春月や拗ねて鳴く戸を拐かす

声ほどに嵩張るはなし鶴帰る

閨は雨降るものと芹刻みけり

遊ぶにはあまりに狭き春の闇

花冷や瞼は使ふたび古ぶ

微熱あり遠く花降る橋があり

水岸や花は力を抜いて死ぬ

霞草空に吊せば泳ぎけり

君の手よ論理の穴に花を挿し

仮の世の春を現の手が冷た

手渡す花その萼雫して春寒

笑へ舗道の水漬く椿を見て言つた

晩かけて発語の喉に菫咲く

風に髪乱れてもただ雉子鳴いて

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