2020-07-05

崎原風子句集 拾遺30句 抄出:小川楓子

崎原風子句集
拾遺30句

抄出:小川楓子

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Ⅰ 南魚座

春のあさだけ翳曝し歩くやすらかに
春蔭を白く充たしゆくペンキ工
薄暮青みもう歌のない帰鳥の列
青の喪失群鳥去りし冬の野に
別離なり葡萄青き日を湛う
夏の月の体臭吐ける老朽船
農夫黄色糧のひまわりの海につかり
向日葵群れ焦点のない焦りくる
ぶどう掌にアンデスの夜かわきくる
受難像肉の部分に秋日の隈

Ⅱ 寝棺

敗者である日金属の拡がる角度へ
春コンクリートに呕吐しやさしい満足
無神論者がいるヘリコプターのさびしい気流
風の日繃帯の神父さゝくれだつ運動性
夜の婚礼車無数によわる落下傘
母になる速度か空の球根と落下傘
胎児垂直に垂れる井戸の一枚の時間
ぼく等の生殖午前のビニールの薄い空間
その日姙婦と退屈な水量見てしまう
基地墓地肉の中のケイレンは見えない

Ⅲ もっとはるかな8へ

ガリア的にしろくらひらする神父の手
ふわふわした車ル・ラシェーズ墓地へ
肉ったような空 う。たとえば年齢集団
ル。地平に一挙にたたせる紙の円筒
い。救いの曇天にあるフィジカル楕円
8月都市へしらじらながれる畜群イー
い。溺死とはどんな色 銅みちくる夕
ロロギア・ロロギア都市は夜よりもながい夢
球体もあり日暮れの体育館のイプイプ
そこは〈ぱるたうすてぎ舌〉ある風景

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