週刊俳句2020年アンソロジー
34名34句
十二月八日のドアノブを回す 山本真也 第665号
もしかして冬うぐひすのにほひかも 細村星一郎 第668号
千の靴行き交ふ春の夕焼に 田口茉於 第669号
アスパラガス並べちゃんとした人になる 前田凪子 第670号
バレンタインの日に渡すはずだった。 森羽久衣 第671号
声ほどに嵩張るはなし鶴帰る 生駒大祐 第672号
花のころ日が差している製図台 藤田哲史 第672号
春昼は裏の畑に居マスとな 大野泰雄 第674号
棒読みで言はるる礼や雀の子 龍翔 第675号
片栗の花に屈むと踵浮く 黒岩徳将 第676号
暮春の母屋あぶらゑのぐの饐えてゐし 安里琉太 第679号
立ち眩みして水無月の青の中 安田中彦 第685号
三日ほど干しっぱなしの半ズボン 樋野菜々子 第685号
平泳ぎしながら時計さがしをり 千野千佳 第686号
湯にレンジに夕餉任せる油蟬 村上瑛 第690号
晩涼の杉木立より笛太鼓 太田うさぎ 第691号
蛸の追ふ生き身の蟹の速さかな 橋本直 第692号
向日葵や人撃つときは後ろから 堀田季何 第693号
破れたる靴の重さやすべりひゆ 佐藤友望 第694号
夢の汝は水棲にして秋の雨 中矢温 第696号
月涼し白ブラウスのもぎりさん 衛藤夏子 第697号
呼ぶほどに離れる猫よ花木槿 柏柳明子 第697号
なつかしき風を通せり西瓜の鬆 相馬京菜 第698号
ぽつりぽつり背中に話すカヌーかな 吉川わる 第699号
台風の夜の痩犬をかはいがる 淺津大雅 第701号
目薬の眼より零るる赤蜻蛉 郡司和斗 第702号
ぬすびとはぎいにしえびとの身軽さよ 桂凜火 第703号
短日は凪の兆も只ならず 田中泥炭 第704号
毬栗のたくさん当たる石仏 藤原暢子 第705号
知ることや愛することや朽葉微光 田中目八 第708号
橋に鳩マフラー貸してそれつきり 大塚凱 第709号
水運ぶ白足袋のかかとの丸み 鈴木春菜 第710号
手袋のままで証明写真撮る 藤田俊 第711号
煮凝りの中に眠たき王都かな 箱森裕美 第713号
(福田若之・謹撰)
2020-12-27
週刊俳句2020年アンソロジー 34名34句
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