2021-05-09

【空へゆく階段】№40 解題 対中いずみ

【空へゆく階段】№40 解題

対中いずみ


「ゆう」7号。今号の「ゆうの言葉」の末尾の語、「類型をおそれよ。そして恐れすぎることのないように。」は今もときおり筆者の胸に蘇る。長い伝統をもつ定型詩である俳句にとりくむ時に、だれもが心しないわけにはいかないだろう。おそらくは裕明本人が幾度も自らに放った言葉ではなかったか。

「ゆう」には「悠悠漫歩」というタイトルで、外部俳人による「ゆう作品」鑑賞コーナーがあった。同じ人が3ヶ月続けて鑑賞して下さった。最初は石田郷子さん、次が千葉晧史さん。7号からは千葉晧史さんの評の一部を引いておく。

  芝を焼くまでの日月いま焼けり  裕明

俳句は常に「いま」を詠むものである。つまりこの句に新しさがあるとすれば、認識そのものが新しいのではなく、認識方法が新しいのである。一件、柔和な作者のうちにひそむ能動性をあきらかにした試み。

7号の裕明句は以下の通り。太字は句集収録句。

 卯月野

貼りつける花びらと泛く花びらと

花ごとにわが詩のあはくなりゆけり

雨なれば筍掘の無口なる

青麥や沙翁は遠き國のひと

隼を見しことつげよ五月鯉

はしる水すぐにしづもる藤の花

卯月野の流れは神へ曲りけり

ランドセル八十八夜のぬくみあり

中腹にしづかな家や更衣

夜の墓五月の風よ強く吹け


田中裕明 ゆうの言葉

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