2021-08-22

【空へゆく階段】№48 解題 対中いずみ

【空へゆく階段】№48 解題

対中いずみ


「晨」65号(1995年1月号)掲載。「私の近世俳人⑤芭蕉」を担当執筆した。裕明の目は、芭蕉を単に俳聖として讃仰するだけではなく、俳句作品の詩性の澄みを見つめている。

今号の発表作品10句。

月の友手帖のペエジ破りけり

自動車にタイヤの四つ菌狩

やすみつつ茸山歩きいたしけり

遊ぶ日と決めて朝から小鳥來る

ひたひより大きな銀杏落葉にて

芝青きところも落葉降りつづく

干拓の村の新米たまひけり

網代守童の笛をつかまつる

人形の足の真直に木の実降る

しぐるるや鞄の中に古りし本


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