2021-10-03

対中いずみ 【空へゆく階段】№52 解題 

【空へゆく階段】№52 解題

対中いずみ



「晨」40号(1990年11月号)掲載。本号の発表作10句。

蓮を見る詩人のまるき食卓よ

芋虫の最も鈍きところかな

赤子の手糸瓜の蔓にまきつける

受話器もつ後ろすがたよ蜩よ

戸口ふたつ人の出入や天花粉

読みながら大満月となりにけり

秋の蛇姿勢をかへて考へ替ふ

つばくらの帰る絵本をめくる音

馬追や前髪は切りそろへられ

秋草のまばらに歩みそめにけり

冒頭の一句は高橋睦郎氏に捧げられたものだろう。

ちなみに文中の「橄欖油エキストラ・ヴィルジネ」は、オリーブオイルのこと。調べると「橄欖(かんらん)は、カンラン科の常緑高木。また、おりーぶ。モクセイ科の常緑小高木」とある。



0 comments: