【空へゆく階段】№52 解題
対中いずみ
「晨」40号(1990年11月号)掲載。本号の発表作10句。
蓮を見る詩人のまるき食卓よ
芋虫の最も鈍きところかな
赤子の手糸瓜の蔓にまきつける
受話器もつ後ろすがたよ蜩よ
戸口ふたつ人の出入や天花粉
読みながら大満月となりにけり
秋の蛇姿勢をかへて考へ替ふ
つばくらの帰る絵本をめくる音
馬追や前髪は切りそろへられ
秋草のまばらに歩みそめにけり
冒頭の一句は高橋睦郎氏に捧げられたものだろう。
ちなみに文中の「橄欖油エキストラ・ヴィルジネ」は、オリーブオイルのこと。調べると「橄欖(かんらん)は、カンラン科の常緑高木。また、おりーぶ。モクセイ科の常緑小高木」とある。
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